和室や畳スペースは必要か?メリット・デメリット
家の間取りを検討しはじめたとき、和室をつくるか、つくらないかで悩む方は、結構多くいらっしゃるのではないかと思います。
最近では和室がない住宅も多いことから、インターネットやSNS、完成見学会で出会ってしまったステキな和室を、我が家にもほしいな!と憧れる方もいらっしゃるでしょう。
やっぱり、畳や障子などで日本の情緒を感じることができ、また「い草」の香りを楽しみながらごろんと横になれる空間は、とても魅力的ですよね。
今日は、「寝殿造り」や「書院造り」のような日本の伝統的な格式高い和室ではなく、使いやすく身近な和室を求める方に向けて、和室についてお話したいと思います。
和室をつくって「こうすればよかった」と後悔しないためにも、ぜひ参考にしてください。
【メリット①いろいろな用途に使える!】
和室の最大のメリットは、いろいろな用途に使えることです。
例えば次のような使い方です。
来客用のスペースとして
お客様をお迎えするスペースにぴったりです。
宿泊される場合も、畳の上にお布団を敷いて対応できますので便利です。
子育てスペースとして
畳はフローリングに比べて柔らかいため、よちよち歩きのお子様が転んでも
痛くなりにくいです。
また、遊んでいて眠くなったら、そのままの流れでお昼寝のスペースとして
利用できます。
家事スペースとして
洗濯物を畳んだり、アイロンをかける作業スペースとして活躍します。
畳に座って落ち着いて作業できますし、足が痛くなりにくいのも嬉しい
ポイントですね。
仏間として
仏壇を和室に置くと、違和感なくまとまりのある空間を作ることができます。
法事をご自宅で行う場合や、家族や親戚が集まる際にも和室が活躍します。
また、座布団を準備するだけで人数の変化に対応できる事も魅力です。
その他、夏には涼しくお昼寝したり、冬にはコタツを出してリビングのように使ったりと、季節に合わせて、また様々なシーンに合わせた使い方ができます。
【メリット②快適に過ごせる!】
新しい畳は「い草」のいい香りがしますよね。
その香りの成分であるフィトンチッドという芳香成分は、殺菌作用を持っており、更にはリラックス効果があると言われています。
また、畳や障子などには、調湿効果もあり夏の不快な湿気は吸収し、乾燥した冬は水分を放出して、湿度を快適な方向へ調節してくれます。
多くの人が和室に惹かれる秘密は、こういう理由もあるかもしれません。
【メリット③大容量の収納が作れる!】
和室の収納と言えば、大容量の「押入」が定番です。
押入は、一般的なクローゼットより奥行きがあり、お布団や座布団をゆったり収納することができます。
また、容量が大きいため、ひな人形やクリスマスツリーなど、大型の季節物を収納することが可能です。
また、押入の収納だけでなく、畳の下部を収納とすることも可能です。
畳を跳ね上げる金具の利用で、畳を収納の蓋のよう簡単に開閉できるようにしたり、小上がり和室にすれば、畳下収納を側面から引き出せる収納にもできます。
【デメリット①メンテナンスに費用がかかる!】
畳は年月の経過と共に、日焼けで変色してしまったり、表面が擦れによって毛羽立ってきたりと、徐々に劣化していきます。
数年経つと畳表を裏返す「裏返し」、更に数年後に畳表を取り替える「表替え」、最終的には、畳を新しい畳に交換する「新調」をすることになります。
同様に押し入れのふすまや障子も張り替えが必要です。
こんなに費用がかかるなんて!と後悔しないよう、定期的にメンテナンス費用が発生してしまうことは、知っておく必要があります。
【デメリット②衛生面に注意が必要!】
畳は、湿気が多い状態が長く続くとカビが生えてしまうことがあり、定期的な換気が必要です。
また、フローリングのように表面がフラットではないので、畳の目に細かいゴミが入ってしまった場合、完全に取り除くことが難しく、それが原因でダニが発生してしまうこともあります。
掃除機だけでなく、掃き掃除や拭き掃除をこまめに行い、清潔に保つことが大切です。
【デメリット③家具を置く際に注意が必要!】
畳は、柔らかいことがメリットであり、デメリットでもあります。
重い家具を置くと家具の重みで畳がへこみ、痕が残ってしまいますので、家具を置くことには向いていません。
へこみ跡を残りにくくするためには、軽量の家具で、足のない底面全体に重量がかかるものを選ぶなど工夫が必要です。
また、畳は日焼けするため、家具やラグなどを置いている場所と、置いていない場所とで色の差がハッキリ出てしまいますので、注意が必要です。
【和室を設ける場合のポイント!】
和室を設けると決めた場合、大切なことは「利用目的」をはっきり決めておくことです。
仏間として使うことを考えているなら、玄関に近い場所に和室を設けるほうが、法事などの際に訪れる人をお招きしやすいと思いますし、宿泊できるような客間として使いたいなら、自分たちの寝室と離れた場所に設けるほうがお互いに気を遣わず利用しやすいと思います。
子育てに利用することを最大の目的としている場合は、リビングと接して設けておけば、キッチンやリビングに居ながら、お昼寝している子供を見守ることができ安心です。
また、このような利用目的であれば、しっかり障子などで間仕切らなくても、オープンな空間で畳コーナーとしても問題なく利用できると思います。
後々は他の用途に使いたい場合や、和室は狭くてもいいと考えている場合には、一般的な和室ではなく、リビングのフローリングの上に置き畳を置き、気軽に和のテイストを楽しむというような方法もあります。
置き畳であれば、場所を移動したり、使わない時にはしまっておくこともできますので必要な時にだけ便利に使えます。
一方で、小さなお子様や高齢のご家族がいらっしゃる場合、和室を小上がりにすると思わぬケガの可能性がありますので、注意が必要です。
【まとめ】
このように和室を設けることには、メリットもデメリットも考えられます。
「いざというときのために」や「あった方が安心だから」のような理由で和室を設置してしまうことは、使わない部屋になってしまう可能性が高く、メンテナンス費用への負担感も大きく感じられると予想されるため、設置はおススメできません。
和室が必要か不要かは、人それぞれの考え方や好みの部分が大きいと思いますが、
自分たちが上手く活用できように計画できれば、気負わず身近で日本情緒を楽しむことができます。
「和室はあった方が楽しく暮らせる!」と感じるようでしたら、ぜひ担当者の方へ利用目的や理想をしっかり伝えて、ステキな和室を楽しんでくださいね。
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