スキップフロアってどうなの? メリット・デメリット
注文住宅の計画をする中で
「スキップフロア」を取り入れてみたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
立体的で開放感のある空間を演出できるスキップフロアは、
注文住宅ならではの魅力的な空間づくりと言えます。
ですが、スキップフロアがある住宅は賃貸物件では少数ですから
実際に暮らした経験がある方は少なく、暮らしのイメージはしづらいですよね。
そこで今回は「スキップフロアってどうなの?」の質問にこたえるべく、
メリット・デメリットについてご紹介していきます。
【スキップフロアとは】
スキップフロアとは、
1階と2階、2階と3階のような「階と階の間」に
中2階や中3階のような「中間の階」を設けるプランのことです。
間仕切壁やドアなどで空間を仕切らず、床の段差によって区切ることで
立体的で開放感のある空間をつくることができます。
魅力的な空間づくりのためだけではなく、
敷地の傾斜を利用するためであったり、
狭小敷地で床面積を増やしたい場合に取り入れるプランでもあります。
【スキップフロアのメリット・デメリット】
スキップフロアには、メリットとデメリットがあります。
それぞれ解説していきます。
《メリット①空間を有効活用できる》
スキップフロアの最大のメリットは、空間を有効に活用できることです。
最下部の床面から屋根までの空間の中に、中間階を設けることで、
自由度の高い間取りを検討することが可能です。
もともとは敷地の傾斜を利用するためであったり、
狭小敷地で床面積を増やしたい場合に取り入れる手法ですから、
スキップフロアで空間の高さを調整して生まれたスペースを
書斎や収納などに利用でき、空間を有効に活用することができます。
《メリット②開放的な空間を演出できる》
部屋を壁や建具ではなく、段差で区切っていきますから
大きな吹抜けのような構造です。
空間が階段によって緩やかにつながり、また、光が通りやすいことから
視点が上下に、奥側へと拡がり、立体的で開放的な空間になります。
実際の面積より広々と感じられることも魅力です。
《メリット③コミュニケーションがとりやすい》
壁や建具の仕切りがないため、
一緒に暮らす家族と接する機会が増え、コミュニケーションがとりやすくなります。
上下階で声が通りやすいので、
わざわざ移動しなくても、他の階にいる家族とスムーズに会話できます。
また、スキップフロアでは、階と中間階の高さの差が少ないため
中間階で遊ぶ子供たちを見守りながら、家事をするなんてことも可能です。
《デメリット①バリアフリーではない》
家の中に段差を多くつくるスキップフロアの住まいは、
高齢の方などには、暮らしにくくなってしまいます。
高齢者だけでなく、子供が小さいうちは、段差による事故にも配慮が必要です。
また、若いうちは問題がなくても、誰もがいずれ高齢となりますので、
年齢を重ね、段差による不都合を感じたとき
暮らし方を変えていく必要があるかもしれないことは知っておきましょう。
例えば、
将来的に上下階の移動をしなくても
1階で生活が完結するように計画しておく方法や、
ミニキッチンやトイレ、場合によっては家庭用のエレベーターを増設するような
リフォームが可能なように計画しておく方法があります。
《デメリット②コストが上がる》
スキップフロアは、大きな空間の中に段差をつくっていきます。
その段差をつなぐ階段が複数必要ですし、
耐震性を確保する面でも、
一般的な1階2階のようなつくりの住宅に比べると建築コストは高くなります。
また、間仕切壁がない大きな空間ですから、冷暖房の効率が悪くなります。
自分がいる部屋だけ空調することができませんし、
空調をはじめてから、快適な温度になるまで時間がかかります。
一般的な住宅と比べると光熱費が高額になりやすいことは知っておきましょう。
大きな吹き抜け構造ですから、
夏は上階側、冬は下階側が、空調が効きにくくなります。
毎月の光熱費を抑えるためにも
スキップフロアでつながる空間の大きさに合わせた断熱計画や空調計画が大切です。
《デメリット③音やニオイが拡がりやすい》
壁や建具の仕切りがないため、コミュニケーションがとりやすい反面
音やニオイは拡がってしまいます。
空間がつながっていることで、
別の部屋にいても声や足音などの生活音が聞こえます。
料理のニオイなども拡がりやすくなりますから、
気になりそうであれば、
能力が高いレンジフードを採用したり、吹抜け部に換気設備を追加したり
ニオイ対策をしておきましょう。
【まとめ】
スキップフロアは、立体的で開放感のある豊かな空間を創出できます。
また、違う部屋にいても家族の気配を感じやすく
コミュニケーションがとりやすくなることも大きな魅力です。
スキップフロアを採用することのメリットは
直感的に認識しやすいですが、一方で小さくないデメリットも存在します。
大きな吹き抜け空間による光熱費の増加や、音・ニオイの拡がり、
年齢を重ね高齢となったときに段差による暮らしづらさを感じる可能性もあります。
スキップフロアは、メリットがそのままデメリットとなりやすいプランなので
将来的にどのような対策をとるかまで考えて計画できるといいですね。
今回の記事を参考にメリットとデメリットをしっかりと見極めて
採用を検討してみてくださいね。
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