部屋の天井高に変化をつけて空間にメリハリを!
普段、天井の高さを意識することはありませんが、モデルハウスや見学会で見た、広々とした開放的な空間を演出してくれる「高い天井」に、魅力を感じる人は少なくないですよね。
また、天井の高さが高かったり、低かったりするだけで「こんなに空間の印象が違うのか!」と天井の高さの重要性に気付く方もいらっしゃると思います。
ですが、どんな部屋でも「高ければ高いほどいい」わけではありません。
後悔しない家づくりのために、天井の高さを高くするメリットとデメリット、そして部屋ごとにふさわしい天井の高さについてお話していきたいと思います。
天井の高さを検討中の方は、ぜひ参考になさってくださいね。
【一般的な天井高さは?】
天井高を考える前に、まずは「一般的な天井高」を確認しておきましょう。
新築の戸建て住宅の場合、多くのハウスメーカーや工務店が「標準仕様」で2,400mmを採用しています。
仕様の変更を申し出ない場合、またこだわりがない場合は、標準仕様での天井高で家づくりを進めることになります。
つまり「2,400mm」の天井高が多く、一般的な天井高と言えます。
【天井を高くするメリットとデメリット】
広々と開放的な空間になるメリットばかリフォーカスされがちですが、デメリットも存在します。
その両面についてしっかり確認して、計画に活かしていきましょう。
《メリット①:開放感な空間になる》
天井高を高くする最大のメリットは、開放的な空間を演出できることです。
頭上にゆったりとした余白が生まれ、天井からの圧迫感が少なくなり、広い部屋では実際の部屋より広く感じられます。
人がたくさん集まっても狭苦しさを感じにくくなりますから、広く見せたいリビングなどの天井を高くすることはおススメです。
逆に狭い部屋で天井高を高くしすぎると、上に向かっての抜け感は演出できますが、広さは感じられず、かえって閉塞感が出てしまう場合もあります。
「どんな部屋でも天井高が高い方が広く感じるわけではない」ことを知っておく必要があります。
《メリット②:部屋を明るくできる》
天井が高いと、壁の高い位置に窓を設けることができますし、より大きい窓を設けることも可能です。
太陽の光を部屋に取り込みやすくなり、明るくなった部屋はさらに開放感を高めてくれます。
また、高い位置の窓は風通しをよくすることができ、換気の際には活躍します。
《メリット③:広がったスペースを活用できる》
天井が高くなった分、広がった空間を活用できます。
少し大きい照明器具も無理なく設置できますし、広くなった壁面には絵や写真などを見栄えよくゆったり配置することができます。
小上がりのスペースなども窮屈に感じることなく作りやすくなります。
この縦方向の空間を大きく自由に使いやすいことは、大きなメリットです。
《デメリット①:コストが増加する》
縦方向に空間が広がる分、材料費用・施工費用ともに建築費用が増加します。
それから、天井に合わせて背の高いサイズの窓を採用した場合にも、追加の費用が発生します。
また、窓が一般的なサイズでない場合、既製品のカーテンやブライドではサイズが合わないことがあります。
丁度いいサイズがない場合はオーダーすることになりますので、想定外の費用とならないよう注意が必要です。
《デメリット②:空調が効きにくくなる》
住みはじめてから感じるデメリットとしては、暖房や冷房が効くまでに時間が掛かることです。
また、広い空間を空調するので、一般的な天井高のよりも光熱費が上がります。
特に注意しておきたいのは、吹抜けを取り入れて天井高を高くした場合の暖房時です。
暖まった空気は上に上がってしまうため、2階は暖かく過ごせますが、1階は寒く感じることがあります。
シーリングファンを取り入れるなど、暖まった空気を下に降ろす工夫が必要です。
《デメリット③:メンテナンスに手間がかかる》
天井が高ければ高いほど、日常のお掃除などのメンテナンスにひと手間かかります。
特に照明器具の電球の交換は難しくなります。
吹抜けなど、どうしても手が届かない場所は、専門の業者にお願いすることになり、その都度費用がかかってしまいます。
【天井高を部屋ごとに考えてみよう】
部屋によってそれぞれが持つ機能が違います。
天井高を高くするメリットとデメリットを確認したうえで、部屋ごとに丁度いい天井高を考えてみましょう。
《リビング》
家族が長い時間を過ごし、来客が集まることもあるリビングは、天井高をしっかり確保し、ゆったりとした雰囲気にしたいスペースです。
人が集まるリビングでは、天井を低くすることは避け、2,400mmは確保しましょう。
リビングに、より高い天井や勾配天井を採用すると、開放的な空間づくりに効果的でおススメです。
《キッチン・ダイニング》
キッチンの天井高は、システムキッチンやレンジフード、吊戸棚の高さを考えて決める必要がありますが、2,300mm程度あれば充分と言えます。
収納を増やすため、背の高い吊戸棚を希望して天井高を高くされる方もいらっしゃいますが、高過ぎる位置の収納は手が届かないため上手く利用できず、結局はデッドスペースになりがちです。
天井高は低めに抑え、吊戸棚も手が届く範囲に設置した方が機能的に利用できます。
ダイニングスペースも、天井高を必要としないスペースです。
ダイニングチェアに座り、テーブルを囲んで過ごすスペースになりますので、2,200~2,300mm程度あれば圧迫感は感じません。
キッチン・ダイニング・リビングと一体的に計画している場合であれば、キッチンとダイニングを低めの高さにして、リビングは高い天井や勾配天井にすると、低い天井と高い天井の対比で空間にメリハリが生まれますし、さりげなく部屋の機能を区切ることができます。
《寝室》
睡眠を取るための寝室は、天井が低めの方が落ち着きリラックスしやすいと言われていますし、冷暖房の効率もいいことから、天井は低めに設定することをおススメします。
ベッドの高さを考慮しつつ、2,200~2,400mmで検討してみましょう。
《和室》
和室の天井高も低めに作った方が「籠り感」がでて、落ち着いた雰囲気に仕上がります。
また、低い天井の方がより強く和の趣を演出できます。
畳に座って滞在することが多いですから、2,100~2,300mm程度でも充分快適に過ごせます。
【まとめ】
天井高で空間の印象も変わりますが、心理的な効果も変わってきます。
「開放的・活動的」な部屋では天井高を高くするのはおススメですが、「リラックス・落ち着き」を求める部屋では、低い天井高をおススメします。
イニシャルコストだけでなく、住みはじめてから負担するランニングコストにもしっかり目を向け、その部屋でどのように過ごしたいかによって決定することが大切です。
天井の高さを上手く利用して、経済的にも心理的にも居心地のいい家づくりに役立ててくださいね。
« 前の記事へ 次の記事へ »